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中国の研究者はNMNで腸の老化を逆転若返らせる

中国の研究者は、NMNが天然の抗酸化防御能力を強化し、高齢のマウスの炎症を減少させて、老化による腸壁の退化を回復することを発見しました。

ハイライト:

  • NMN投与によってNAD+細胞を増やすと、高齢マウスの腸の構造を回復することができます。これは栄養の吸収が改善されたということを示しています。 
  • NMNは腸のバリアを完全な状態にする遺伝子を活性化させ、漏れ穴のあるような腸の機能を回復します。  
  • 抗酸化防御能力を強化し、NMNで炎症を軽減することで、腸壁の構築は成し遂げられます。

 

我々の腸は生命維持に必要な栄養を吸収するだけでなく、外界との保護バリアとしても機能しています。このバリアが破壊されると、病原体などの有害分子が血液中に忍び込み、他の臓器に大惨事をもたらします。研究によると、このバリアは年齢とともに損なわれることをされていました。しかし、『Food & Function』に発表された最新の研究によると、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)は腸壁損傷の改善に役立つ発表しています。

中国の江西科学院の研究者は、NMNはニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド(NAD+)を活性化できる分子であり、加齢による腸の機能障害を防ぐことができると報告しています。また研究者は高齢マウスにNMNを用いて、マウス体内のNAD+レベルを高めてから、腸壁の構造を回復できることを発表しました。彼らはまた、NMNが腸の障壁の完全な状態にする遺伝子を増やすことも発表しました。これらの研究結果は、NMNが炎症を軽減させ、自然な(内因性)抗酸化物質を活性化する作用があることを示しています。

 

NMNは老年マウスの腸の内側を再構築し強化する

腸の内側は滑らかではなく、腸絨毛という突起からできています。腸の「柔突起」を広げると、実にテニスコート1面分ほどの面積になります。これは栄養の吸収を最大化するためなのです。研究者は、高齢マウスの飲用水にNMNを加えると、腸絨毛の長さが伸び、栄養吸収が改善されたことを発見しました。さらに、NMNが空腸と呼ばれる小腸の同じ場所のNAD+レベルも増加させました。 

(Ru et al.,2022|Food&Function)NAD+レベルが上がると、老年マウスの腸の構造を回復できる。空腸と呼ばれる小腸部分では、NMNを服用することで絨毛の長さ(左)を増やし、NAD+レベルを上げることができる(右)。

 

腸の内壁を構成する細胞の間には隙間があります。その隙間が広すぎると、大きな有害分子が血液の流れに乗って入り込んでしまいます。タイトジャンクションと呼ばれる渋滞地点で特定のタンパク質によってこれらの隙間は、狭められるのです(主図参照)。研究者は、老年マウスを使った実験において、NMNがこれらのタンパク質に関連する遺伝子の活性化を促進することを見出しました。つまりこのことは、NMNが有害分子の腸壁への浸透を妨げていることを示しているのです。

(Ru et al.,2022|Food&Function)NMNは老年マウスの腸内バリア遺伝子分子を増加させる。NMNは腸のバリアの完全性に関連する遺伝子(OccludinとClaudin−1)の活性を増やした。 

 

研究チームは、NMNがどのように腸の老化を逆転させるかを確認するために、天然の抗酸化物質と炎症に関連する遺伝子の測定をしました。その結果、NMNは酸化防止物質に関連する遺伝子(SOD 2やNrf 2など)を活性化させ、炎症に関連する遺伝子を抑制することがわかりました。抗酸化物質は活性酸素(ROS)と呼ばれる有害な遊離基、それは広く炎症を引き起こしたり、加齢に伴い起こる機関や組織の機能障害を引き起こすものですが、それらを鎮静化する力があります。

さらに、NMNは、NAD+を燃料とする酵素のサーチュイン(Sirt 3とSirt 6)を活性化をさせます。これは抗酸化物質としての能力の向上、炎症の軽減につながるのです。これらの結果は、NMNがサーチュインの活性化をとおして、抗酸化物質を増加させ炎症を軽減し、腸の老化を逆転させることを示しているのです。

 

NMNは様々な病気を予防できるか?

本研究に加えて、NMNが腸全体を保護し、腸幹細胞を元気にし、老年げっ歯動物の結腸退化を抑制することができることが発表されています。もう一つのNAD+前駆体ニコチンアミドヌクレオシド(NR)も腸の内壁の機能を改善し、腸内幹細胞を活性化させることが発表されています。これらの研究は、加齢により減少する分子であるNAD+を活性化させることが、神経の退行、心臓疾患、肥満のような加齢と共に起こる症状を食い止める基礎となると思われてきましたが、腸の加齢も抑制する基礎になるかもしれないということを示しています。腸壁が痛んだ状態は肝疾患やアルツハイマー病とつながる可能性があるため、NMNを用いてNAD+レベルを高める治療法は、腸の老化を逆転させることによって、これらの疾患を和らげたり防いだりすることに役立つ可能性があります。

 

ソース

Ru M, Wang W, Zhai Z, Wang R, Li Y, Liang J, Kothari D, Niu K, Wu X. Nicotinamide mononucleotide supplementation protects the intestinal function in aging mice and D-galactose induced senescent cells. Food Funct. 2022 Jul 18;13(14):7507-7519. doi: 10.1039/d2fo00525e. PMID: 35678708.

Journal Reference

Untersmayr E, Brandt A, Koidl L, Bergheim I. The Intestinal Barrier Dysfunction as Driving Factor of Inflammaging. Nutrients. 2022 Feb 23;14(5):949. doi: 10.3390/nu14050949. PMID: 35267924; PMCID: PMC8912763.